”大海原に抱かれて” in Ogasawara

3月9日(月)


7時半起床。

朝食後、仕事で小笠原地域福祉センターを借りる関係で、手配していただいた村役場へご挨拶を兼ねて若干の打ち合わせをしに行く。周辺には東京都小笠原支庁や小笠原総合事務所(国の各機関が入っている)がある。いちばん小さな建物が村役場だったので見落としてしまった…。


帰りにふと村役場の壁をみるとこんな看板が…。

父島のみに起きる現象で、6月頃ほぼ毎日のようにシロアリが大発生するらしい。それも、前が見えないくらい(吹雪のようなイメージだとのこと…(>_<))ほどの数。不思議なことに決まって午後6時半から大発生して、きっかり1時間くらいでパッタリといなくなるそうだ。大発生中は、島民はサッシに台所用洗剤をたらして家に閉じこもるそうだ。

こんな状態なので、小笠原にはシロアリの巣がかなりあるようで、シロアリに精通した島の施工会社に家を建てさせないと、シロアリに食われてスカスカにされてしまうそうだ。

ちなみにその「吹雪」の間、カエルがお腹が破裂しそうになるくらいシロアリを貪り食べるらしい。満腹になったカエルはフェンスをくぐりぬけようと頭を通過させるも、お腹がつかえて抜けなくなり、カエルは前進しかできないので、そのまま翌日になって強い陽ざしでたくさん干からびているそうだ、想像すると気持ち悪い!

その後、小笠原ホエール・ウォッチング協会で若干の打ち合わせをした後、二見港のターミナルの点検を行う。

これから夕方までフリーなので、島内を案内していただくことになった\(^o^)/。ここからは車で行ける所を駆け足で一通り見ていった。

最初に父島の中心街である「湾岸通り」、「ボニン通り」をざっとみる。小笠原は国立公園内にあるため、法律でいかがわしいお店の営業は禁止されており安全、それもあって内地から多くの若い女の子がアルバイトに来ている。道理で洗練された女の子が多いわけだ。

次に住宅街が数多くある地区を通る。公務員宿舎や都営住宅が多い。意外なことに小笠原は住居費がかなり高く、1ルームの家賃が7〜8万円程度と首都圏と変わらない相場。だから、小笠原では都営住宅に住むことができないとかなり家計を圧迫するそうだ。

続いて、とびうお桟橋へ。ここは、漁船、ダイビングボート、ホエール・ウォッチング等の船が数多く係留されており、ここを起点にして南島や父島周辺海域へ繰り出していく。


次に境浦海岸へ。ここには第2次世界大戦中に魚雷を打ち込まれて座礁した「濱江丸」がある。昔はもう少し船体が見えていたそうだが、チリ地震の時の津波でさらに沈んでしまい、今のような姿になってしまったとのこと。


↑このあたりを分け入ると旧日本軍の戦闘機の残骸が数多く残っているそうだ

←モモタマナが紅葉したもの
←モモタマナの実

次にコペペ海岸へ。その昔、この付近に住んでいたと言われるギルバート諸島出身の先住民「コペペじいさん」が名前の由来。サンゴ礁が広がるきれいな砂浜、なのに、全然人がいない…。これをみると湘南の海などにはとても行く気にならない。もう既に水温が26〜27℃になっているので、海水浴は十分できる季節。案内してくださった方も内地から来た人を海に連れて行くならココだとおっしゃっていた。


←オカヤドカリ(個体数減少のため天然記念物に指定されている)

↑サンゴ礁の欠片がたくさん落ちている。一つくらい持ち帰ればよかったかな…。

小笠原海域の透明度は、パラオ諸島海域に次いで世界第2位だそうで、海藻はほとんど繁茂していない。そのため、小笠原で生産される塩は大きな結晶を有することが特徴で極めて良質とのこと。小笠原のお土産として有名。特に満月の日に採った海水で作られる「ムーンソルト」は塩にしてはかなり高価。

次に東京都小笠原亜熱帯農業センターへ。南国の植物がたくさん育てられている。ここも含めてこのような施設はすべて入場無料なのに、観光客がこないそうだ。もったいないことだ。

  レモングラッセ      小笠原レモン      シークヮーサー     ハイビスカス

小笠原レモンは、最近内地でもブームになっているそうで、無農薬で完熟してからもぎ取る、もぎたては青いが、次第に黄色に変わる、完熟なので実が丸く大きい。無農薬なので皮ごと使ってジャムにすることができるそうだ。レモンジャムは島で生産しているものであり、お土産に大人気。

センター内で、グリーンアノール(緑色のトカゲような生き物、一応イグアナ科らしい)を目撃。
←木にピントが合ってしまって分かりにくいが、縦に木にくっついている。

グリーンアノールは外来種で、戦後、運搬された物資に混入していたり、ペットとして飼われていたものが遺棄されたりして小笠原に帰化。固有種であるオガサワラトカゲやその他の昆虫類を食べてしまい、個体数が減少させている。このように外来種がのさばってしまっていることが、実は小笠原の世界遺産登録のネックの一つになっているそうだ。

ちなみに小笠原にはトカゲの天敵であるヘビがいない。それが一層グリーンアノールが幅をきかせる一つの要因になっている。

次に先ほどのコペペ海岸から遊歩道で結ばれている小港海岸へ。ここは父島最大の白砂のビーチ。波も穏やか。沖の方にはダイビングボートも見える。


ふと山側を見上げてみると、崖に10頭近く野生のヤギがいるではないか。

ヤギも元々は小笠原に生息していた動物ではなく、太平洋戦争中に南方戦線用の食糧として連れてこられたもので、退却の時に打ち捨てられたものである。ヤギは繁殖能力が高く、今ではかなりの数が小笠原にいると言われる。沖縄ではヤギを食べるので、時々コンテナに入れて海上輸送されるそうだが、沖縄に着くまでの間に数が増えているというから相当なものだ。ヤギも小笠原の生態系を破壊している動物で、定期的に一斉捕獲をしているようだ。これも同様に世界遺産登録のネックの一つ。

道路にも普通に出てくるため、こんな標識もある。


父島中央部を縦貫する道路を走っていると、霧のため視界が悪くなった。天気は目まぐるしく変わるのが小笠原。途中、国立天文台(電波望遠鏡があり、夜はオレンジ色にライトアップされ、オレンジ色のキノコに見えるらしく、”オレンジぺぺ”(注)と呼ばれているそうだ)や顔なしの二宮金次郎の銅像(米兵がいたずらで顔を持ち帰ったと言われる)をみて、中心街に戻り昼食。

(注)グリーンペぺ(夜光茸):日中はただの白いキノコにしか見えないが、暗くなると緑の蛍光色に光る傘が直径1〜3cm程度のもの。分布は主に熱帯地域で、日本では小笠原諸島や八丈島で見られる。

海外で修業を積んだシェフのいるレストラン「CHARLIE BROWN」。店内はとてもお洒落な南国風バーのような雰囲気。夜に来てもいいと思う。

正直言って、いくら海外で修業してきたと言っても所詮は離島だろうとあまり期待していなかったが、素晴らしく美味しい。ただしランチにしては価格は高め。


午後は宮の浜海岸へ。ここは兄島と向かい合うサンゴの浜で、熱帯魚がたくさんいてシュノーケリングには絶好のポイントだそうだ。兄島との間の海峡は「兄島瀬戸」と言われ、潮流がかなり速いことから、黄色の浮標より先は遊泳禁止になっている。

 ←オガサワラヒヨドリ

ちなみに小笠原にはウグイスがたくさんいるが、鳴き声が「ホー、ケキョ」と「ホ」が一つ足りない。なんかマヌケなんだよな。

次に三日月山展望台へ。ここは、父島の北西端に位置し、北側の兄島方面から、南側の二見港、南島方面を見渡すことができる。天気がよければ母島も望める。ダイビングショップのおじさん達は毎朝当日の気象・海象情報を得るためにここへ登ってくるそうだ。インターネットの情報よりも長年の蓄積された経験と勘がモノをいうのだろう。




展望台では、ホエール・ウォッチング船のアルバイトの女の子が双眼鏡でずっと海を見て、クジラの出没ポイントを無線で船に伝えている。少しでも船からクジラを見れるようにするためのサービスらしい。

しかし、この日は風が若干強かったこともあり、あまり見えない。見えても遠くの方で潮を吹いている程度。残念…。

途中で飽きてしまって、近くを見るとイソヒヨドリ?がいる。警戒心が全くなく、至近距離にカメラで寄っても全然逃げなかった。


これで、一旦ホテルシップへ戻る。

夕方から地域福祉センターへ行き、20時半までの間、個別にホエール・ウォッチングのために船を運航している方々に対するヒアリングを実施。


その後、夕飯を兼ねて21時過ぎから居酒屋へ行き、22時過ぎにホテルに戻る。


明日は母島往復のため朝が早いので23時半には就寝。