朝井リョウ「何者」

◆読了日:2015/08/12
◆個人的評価:(4.5)
◆書き下ろし 286ページ(新潮社・2012/11/30)


<あらすじ>

「あんた、本当は私のこと笑ってるんでしょ」就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす、書下ろし長編小説。



<たーやんの独断的評価>

本作品は平成24年度上半期の直木賞受賞作品です。朝井リョウさんの作品は「桐島、部活やめるってよ」に続き2作目ですが、本作品の方が私にはずっと面白かったです。

私はいわゆる一般的な就活(←このシュウカツっていう言い方、好きになれないな…)を経験していませんし、SNSもやっていませんので実感できないことが多かったんですが、とても興味深く一気読みしました。

就職活動は否が応でも自分自身を見つめ直す機会が多くなるでしょう。何者にもなれていないのに少しでも自分を格好良く見せようとしたりするのは誰しも経験のあることだと思います。そしてそれを評論家的に冷めた目で見る人もいます。どちらも虚勢を張った弱い人間…そういった人々の心理がとてもよく描かれていると思います。今の自分に響いてくる場面はたくさんありました。そして耳が痛くなるようなところもたくさんありました。私も主人公のように何者にもなれていないのに、一丁前に「観察者」となっていたりするんでしょうね。実に恥ずかしいことですよ。。。

人生ずっと順風満帆なんていう人はいないでしょうから、きっと読んでいて共感できることはたくさんあると思います。おススメです。