池井戸潤「七つの会議」

◆読了日:2013/08/16
◆個人的評価:
◆「日本経済新聞電子版」連載 403ページ(日本経済新聞出版社・2012/11/01)


<あらすじ>

この会社でいま、何かが起きている―。トップセールスマンだったエリート課長・坂戸を”パワハラ”で社内委員会に訴えたのは、歳上の万年係長・八角だった―。いったい、坂戸と八角の間に何があったのか?パワハラ委員会での裁定、そして役員会が下した不可解な人事。急転する事態収束のため、役員会が指名したのは、万年二番手に甘んじてきた男、原島であった。どこにでもありそうな中堅メーカー・東京建電とその取引先を舞台に繰り広げられる生きるための戦い。だが、そこには誰も知らない秘密があった。筋書きのない会議がいま、始まる―。”働くこと”の意味に迫る、クライム・ノベル。



<たーやんの独断的評価>

約8カ月ぶりに小説を読みました。この本は今年の1月に図書館に予約してようやく手元に来た池井戸潤さんの新作です。今をときめく作家さんで、ノリにノッてますよね。本を書けば飛ぶように売れるし、原作のドラマ「半沢直樹」は高視聴率をマークしているし。本作品もNHKでドラマ化されて、ついこの間、放送が終了したようですね。ドラマはどうもイマイチだったみたいですけど、少なくとも原作は面白かったです。

私は営業の世界のことは全然知りませんから、実際にメーカーの裏事情としてこういうことが行われているのか分かりませんが、人間いざとなると本性が出てきて、責任の擦り付け合いをする者、正義感を持って内部告発する者、人間模様がとても面白いです。全8章から構成されていて、それぞれ主だった登場人物の目線でこの企業で起きた事件について描かれながら物語は少しずつ展開していき、企業の病巣が少しずつ明らかにされていきます。元バンカーの作家さんが書く企業小説だけに、大企業、それにぶら下がる子会社、その下請け企業の実態や力関係などリアリティ満点で、大変興味深く読了しました。おススメです。是非読んでみてください。

まだ池井戸さんの本を読むのは、「下町ロケット」に続き2作目ですが、ハズレが少ない作家さんなのではないかという感じがします。最新作「ようこそ、わが家へ」も予約済みなので、こちらも楽しみです。