角田光代「紙の月」

◆読了日:2012/12/01
◆個人的評価:(2.5)
◆「東奥日報」等連載 313ページ(角川春樹事務所・2012/03/08)


<あらすじ>

わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が約1億円を横領した。梨花は発覚する前に、海外へ逃亡する。梨花は果たして逃げ切れるのか?―--自分にあまり興味を抱かない会社員の夫と安定した生活を送っていた、正義感の強い平凡な主婦。年下の大学生・光太と出会ったことから、金銭感覚と日常が少しずつ少しずつ歪んでいき、「私には、ほしいものは、みな手に入る」と思いはじめる。夫とつましい生活をしながら、一方光太とはホテルのスイートに連泊し、高級寿司店で食事をし、高価な買い物をし・・・・・・。そしてついには顧客のお金に手をつけてゆく。



<たーやんの独断的評価>

角田光代さんの最新作。

読み物としてはとても面白かったんですが、奥行きのない薄っぺらなストーリーでした。2時間ドラマとか昼ドラの脚本としてはいいかもしれませんけどね。それに、銀行に勤める女性が年下の男に入れ上げてしまって、業務上横領をしてしまう話って、使い古されたネタですよね。そこから先の展開があれば、よかったかもしれませんけど、角田さんの作品にしては内容に乏しかったですね。

精神的に追い詰められて深みにはまっていく女性を描いた「八日目の蝉」や「森に眠る魚」と比べるとやはり物足りなさを感じざるを得ません。