”根拠なしポジティブ”の現代のフリーターと、昭和19年の「海の若鷲」にあこがれる軍国青年が時空を超えて入れかわった!それぞれの境遇に順応しつつも、ふたりはなんとか元の時代に戻ろうとするが…。おもしろくてやがて切ない、愛と青春の戦争小説。
◆読了日:2012/07/07
◆個人的評価:
◆「小説推理」連載 474ページ(双葉文庫・2006/08/20)
<あらすじ> ”根拠なしポジティブ”の現代のフリーターと、昭和19年の「海の若鷲」にあこがれる軍国青年が時空を超えて入れかわった!それぞれの境遇に順応しつつも、ふたりはなんとか元の時代に戻ろうとするが…。おもしろくてやがて切ない、愛と青春の戦争小説。
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久々の読書です。この本はずっと前に古本屋で買った本ですが、タイムスリップという”飛び道具”が出てくる突飛な設定なので、読むのを敬遠していました。 1944〜1945年と2001〜2002年のタイムスリップ後の場面が交互に章立てされていて、タイムスリップしてからの11か月間を少しずつ下ってくる構成になっています。 読み物としては、大変面白かったですよ。さすが荻原浩さんというところです。でも、やはりタイムスリップしている以上、何かと設定上無理が生じてしまって、最終的な帳尻合わせもあり得ないような偶然が重なるといった具合で、私の感性にはあまりあわなかったようです。 戦争物なので、今回も「明日の記憶」のようなシリアス系のストーリーなのかと思っていましたが、これはコメディですね。特に1944年の人が2001年で暮らしている場面は面白いです!昔の人が現代のモノや流行を表現するとこういう感じになるのね、というあたりは抱腹絶倒モノです。電車の中で読むのはやめた方がよさそうです。まあ戦前世代の方が読んだら、昔の人を愚弄しているだろっ!とお怒りになるかもしれませんが…。 それにしても、1944年の青年が現代の日本を見てポツリと漏らした一言、「おれたちはこんな世界のために命を懸けて戦ったのか…」というくだりは痺れました。こんな刹那的で、退廃的で、夢も希望も持てない世の中ではそう思いますよね…。 |