池井戸潤「下町ロケット」

◆読了日:2012/03/27
◆個人的評価:(4.5)
◆「週刊ポスト」連載 407ページ(小学館・2010/11/29)


<あらすじ>

「その特許がなければロケットは飛ばない――。
大田区の町工場が取得した最先端特許をめぐる、中小企業vs大企業の熱い戦い!
かつて研究者としてロケット開発に携わっていた佃航平は、打ち上げ失敗の責任を取って研究者の道を辞し、いまは親の跡を継いで従業員200人の小さな会社、佃製作所を経営していた。
下請けいじめ、資金繰り難――。
ご多分に洩れず中小企業の悲哀を味わいつつも、日々奮闘している佃のもとに、ある日一通の訴状が届く。
相手は、容赦無い法廷戦略を駆使し、ライバル企業を叩き潰すことで知られるナカシマ工業だ。
否応なく法廷闘争に巻き込まれる佃製作所は、社会的信用を失い、会社存亡に危機に立たされる。
そんな中、佃製作所が取得した特許技術が、日本を代表する大企業、帝国重工に大きな衝撃を与えていた――。
会社は小さくても技術は負けない――。
モノ作りに情熱を燃やし続ける男たちの矜恃と卑劣な企業戦略の息詰まるガチンコ勝負。
さらに日本を代表する大企業との特許技術(知財)を巡る駆け引きの中で、佃が見出したものは――?
夢と現実。社員と家族。かつてロケットエンジンに夢を馳せた佃の、そして男たちの意地とプライドを賭した戦いがここにある。」



<たーやんの独断的評価>

これは傑作です!さすがに平成23年度上半期の直木賞受賞作品です。読み進めていくうちに、強者の論理に敢然と立ち向かう町工場を判官贔屓してしまうことでしょう。

特許の裁判の様子や特許使用許可か部品供給かについて大企業と町工場のせめぎ合いの様子は、実にリアルで手に汗を握るようです。

10代の頃に読んだら、現実的な意味で感化されたんじゃないかと思いますね。この閉塞状況にある現代だからこそ、読んでみたらいいんじゃないかと思います。きっと夢を与えてくれると思います。こんな風に仕事や会社を愛することができたら幸せなことです。是非ともお手に取ってみてください。読後感も極めて爽やかです。