◆読了日:2012/01/27
◆個人的評価:(4.5)
◆「CLASSY.」連載 259ページ(光文社・2011/09/20)
<あらすじ> 玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく―。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか―。 |
三浦しをんさんの最新作。私の街の図書館でリクエストトップ10に入っている作品です。最近あまり読書をする時間がとれなくて、細切れ時間で読了しましたが、その割に楽しめた本でした。 三浦しをんさんは、あまり他の作家さんが題材として取り上げないような職種・仕事をテーマにした作品をいくつか書かれていますが、彼女はこういうマニアックなところに焦点を当てる作品を書かせると実にセンスが光る作家さんですよ。 日本語という「大海原」を漕ぎ渡っていくには「辞書」という「舟」が必要です。『大渡海』という2千数百ページの大型辞書を「編んで」、出来上がるまでの大手出版社の辞書編集部を舞台にした作品です。 マニアックな内容をテーマにしていますが、読者は様々な想いを胸に読み進めていくことができると思います。普段何気なく使っている言葉というものに改めて愛情を持って接するもよし、この地道に積み上げていく作業を興味深く読むもよし。いろいろ楽しみながら読むことができると思います。 辞書を作り上げていく過程は大変地味で、一見すると傍目には面白味に欠けるように思えるかもしれません。でも私は普段一つ一つレンガを積み上げるような勉強をしているせいか、コツコツと気の遠くなるような作業をしている姿には、とても共感できました! 読後感もとても爽やかで、これはおススメですよ! |