読了日:2011/09/03
個人的評価:
「週刊新潮」連載 377ページ(新潮社・2011/04/20)
<あらすじ> 関西最大の都市・浪速で新型インフルエンザ「キャメル」が発生した。経済封鎖による壊滅的打撃、やがて仄見える巨大な陰謀。ナニワの風雲児・村雨府知事は、危機を打開できるのか?村雨が目論む、この国を破滅から救うための秘策とは――。 近未来を透視するメディカル・サスペンス! |
このあらすじを読むと、インフルエンザ蔓延によって引き起こされるパニックストーリーなのかな?と普通は思いますよね?書かれた時期がちょうど新型インフルエンザが蔓延した一昨年ですから、ついにこのネタで医師の目線で書かれたのかとかなり期待していたんですが…、かなり政治向きの話でした。 霞が関のパワーゲーム、道州制導入のあり方等の地方自治の問題、検察組織の闇、そしてインフルエンザの話と、テーマがとっ散らかっていて、結局何が言いたいのかよく分からない、極めて総花的な感じでしたし、海堂さんのロジックも今回に限って言えば、暴走しまくっている感じでした。また、全体的に無責任な発言をする評論家的なスタンスで書かれている感じがして、かなり嫌悪感を覚えました。 さらに言うと、視点はコロコロ変わるし、時系列に沿って書かれていなくて、とても読みづらい本でした。結末に近づくにつれて、どんどん読む気がなくなるっていう本も珍しいです。 ちなみに、amazonなどの評価ではかなりの高評価となっています。本作品を読みたい方は、「イノセント・ゲリラの祝祭」読了後の方がよいと思います。主要な登場人物である彦根の人となりを知ってからの方がよいでしょう。 久々に読書して損をしたなあと思わせる作品でした。しばらく海堂さんの作品は読みたくない気分です。 |