東野圭吾「麒麟の翼」


読了日:2011/08/24
個人的評価:
書き下ろし 325ページ(講談社・2011/03/03)


<あらすじ>

ある寒い夜、日本橋で巡査が見たのはひどく酔った男だった。しばらくすると男は寝てしまったようだ。巡査は仕方なく起こしに行ったのだが、一向に起きない。そして巡査は見てしまったのだ、胸に刺さったナイフを。どうやら男は死にかけた状態でここまで歩いてきて、力つきたようだ。その後、病院に搬送されたが、男は死亡してしまう。

一方、ある若い男がトラックにはねられ、昏睡状態に陥ってしまう。しかし、彼の持ち物から、日本橋での被害者が持っていた財布と書類鞄を所持が発見される。果たして、若い男が殺したのか、加賀がこの真相に挑む。




<たーやんの独断的評価>

予約の都合上、東野さんの作品が連荘になりました。本作品は加賀恭一郎シリーズの第9作になります。直近の加賀恭一郎シリーズでは「新参者」がドラマ化されていますので、ご存じの方も多いかと思います。本作品を読むならば、先に「新参者」や「赤い指」等を読んだ方が背景がスムーズに入ってくるので、よろしいかと思います。

さて、最近読書の時間があまりとれないので、予約の本が溜まり気味で読まずに返すものもあったりして、本作品も読まずに返そうかと思ったのですが、現在の予約人数を見ると約700人待ち…、読まないで返すのが勿体なくなったので、読書に時間を割くようにして2日で読了。

前評判に違わず、さすがにガリレオシリーズと並んで人気のシリーズだけあって、かなり面白かったです。直木賞受賞以前の東野さんの作品の雰囲気に回帰したような感じです。ミステリーではありますが、トリックや伏線等はごくごく平凡です。ただ、東野さんの文章はとても読みやすく、また人物の描き方が上手いですね。加賀さんの飄々としたキャラはいつもながら魅力的です。殊更にミステリーだと思って読まなければ、とても楽しめる作品だと思います。

最近の加賀恭一郎シリーズの中での出来栄えとしては…、「赤い指」>「麒麟の翼」>「新参者」というところでしょうか。

ちなみに本作品も来新春に映画化が決まっているようです。