道尾秀介「カササギたちの四季」

読了日:2011/07/18
個人的評価:★★★☆☆
「小説宝石」、「ジャーロ」連載 283ページ(光文社・2011/02/25)


<あらすじ>

開店して2年。店員は2人。「リサイクルショップ・カササギ」は、赤字経営を2年継続中の、ちいさな店だ。店長の華沙々木は、謎めいた事件があると、商売そっちのけで首を突っ込みたがるし、副店長の日暮は、売り物にならないようなガラクタを高く買い取らされてばかり。でも、しょっちゅう入り浸っている中学生の菜美は、居心地がいいのか、なかなか帰ろうとしない―。



<たーやんの独断的評価>

直木賞受賞後の最初の作品です(とはいっても実際に書かれたのはだいぶ前でしょうけど)。「鵲の橋」、「蜩の川」、「南の絆」、「橘の寺」の4篇からなる連作短編集です。読み終わってみて、まず最初に感じたのが「これ、ホントに道尾秀介さんの作品なの?こんなほのぼのテイストなのが??なんだかいい話だぞ!」…。道尾さんの本で最初に手にとったのがこれだったら、この作家さんの本来のテイストを勘違いしてしまうでしょうね。先日読んだ「光媒の花」といい、最近宗旨替えしたんでしょうか…。

こういう話は他の作家さんでも読めるよなあというのが正直な気持ちです。伊坂幸太郎さんと重松清さんのテイストを足して2で割ったような感じでしょうか。まあこれはこれで面白かったです。適度にユーモアが散りばめられていて、登場人物はとても魅力的かつ丁寧に描かれているし、文章も上手くてさすがと思わせるところは多々ありましたが、道尾さんのファンには期待ハズレな作品かもしれません。

予約の都合上、次の本も道尾さんの作品です(直木賞受賞作「月と蟹」)。