伊坂幸太郎「マリアビートル」

読了日:2011/05/25
個人的評価:★★★★☆
書き下ろし 465ページ(角川書店・2010/09/24)


<あらすじ>

元殺し屋の「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた相手に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線「はやて」に乗り込む。狡猾な中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」&「檸檬」。ツキのない殺し屋「七尾」。彼らもそれぞれの思惑のもとに同じ新幹線に乗り込み―物騒な奴らが再びやって来た。『グラスホッパー』に続く、殺し屋たちの狂想曲。3年ぶりの書き下ろし長編。



<たーやんの独断的評価>

本が手元に来てから初めて知りましたが、本作品は「グラスホッパー」の続編なんですね。「グラスホッパー」は未読です…失敗しました…。

この作品は、東北新幹線の東京駅から盛岡駅までの2時間半を独特な登場人物たちの目線(チャプターの冒頭に登場人物の名前orニックネームである「木村」、「果物」、「天道虫」、「王子」等の三文判が印字されています)で描いています。この手の話は伊坂さんのお得意分野ではないでしょうか。

登場人物はそれなりの人数が出てきますが、ストーリーがきちんと整理されていて、各所に散りばめられた伏線も最後には何かしらの意味を持っていますので、注意深く、かつ記憶が薄れないうちに読むに限ります。何と言ってもスピード感がとても大事です。私は毎日少しずつ読んでいたので、読了まで2週間近くも要してしまいましたが、一気に読むべしです。絶対にその方が楽しめると思います。★×4になっているのは、私のチビチビ読書のせいだと思います。内容的には★×5にしてもいいくらいの”よくできたお話”です。恩田陸さんの「ドミノ」みたいな本がお好きの方にはおススメです。