読了日:2011/05/07
個人的評価:★★★★☆
209ページ(角川書店・2010/12/25)
<あらすじ> 朔太郎はSF作家。高校時代の同級生で、朔太郎のよき理解者である妻の節子と、ささやかながらも幸せな毎日を送っていた。そんなある日、節子が病魔に冒され、余命1年の宣告を受ける−。1日1話、節子のためだけに小説を書く。それが朔太郎の祈りであり、2人の生きる希望だった。いつまでも小説を書き続けたい。いつまでも読んでいたい…。夫婦とは、命とは、愛するとは。眉村卓氏の実話を元にした愛と奇跡と感動の映画、完全小説化。 |
ちょっとミーハーな読書をしてみました。今年の初めごろに映画化された作品です。 この話はどこかで聞いたことがあるような気がするというよりも、本を読んだはずだという記憶があるのに、本作品は言うまでもなく、眉村卓氏のエッセイ「僕と妻の1778話」(実は読みたかったのはこの作品の方です)も読んだことはありません。以前ドラマ化でもされていたのを観たんでしょうか?いやにクリアな既視感があって、どうも気になるんです…。3年くらい前に読んだ城山三郎氏の「そうか、もう君はいないのか」に同じようなくだりがあったような気がしていたんですが、ネットで調べる限りでは見当たりません。まあそうそう似たような話があるわけもないですね…。 それはともかく、多くを語るまでもなく、とても素敵なお話です。妻のために自分は何をするべきかと思い悩み、妻のためだけに1日1話の小説を書くことにしたわけです。次元が全然違いますが、毎日日記やブログを書いている人ならば、どれだけ大変なことか想像するくらいはできると思います(しかも病床の妻からはそのまま出版できるような質の高いものを書いてほしいという要望もあり、また妻を笑わせて元気にさせるという目的もありましたので、内容的に非常に高いハードルが設定されていたんです)。結局5年近くの間、1日も休まず書き続けたわけですが、この物語が終わるとき=”妻を失う時”ということを考えると何とも切ないですね。妻を失う寂寥感から自分自身を見失わないようにするために、自分自身のために書き続けていたのかもしれません。 本作品は、映画のシナリオとして眉村氏の原稿を基に書きなおしたものですので、きれいに作られ過ぎの感はあります。いかにもドラマ・映画っぽい感じです。やはり「ホンモノ」には到底敵わないんでしょう。 スキマ時間を活用しても2日あれば読了できますので、興味があったら読んでみたらいかがでしょうか。機会があったら、「僕と妻の1778話」も読んでみようと思います(たぶん読まないかな…)。 |