読了日:2011/03/15
個人的評価:★★★☆☆
「小説新潮」連載 549ページ(新潮社・2010/10/15)
<あらすじ> 身に覚えのない殺人の罪。それが江木雅史から仕事も家族も日常も奪い去った。理不尽な運命、灰色に塗り込められた人生。彼は復讐を決意した。ほかに道はなかった。強引に自白を迫る刑事、怜悧冷徹な検事、不誠実だった弁護士。七年前、冤罪を作り出した者たちが次々に殺されていく。ひとりの刑事が被害者たちを繋ぐ、そのリンクを見出した。しかし江木の行方は杳として知れなかった…。彼が求めたものは何か。次に狙われるのは誰か。あまりに悲しく予想外の結末が待つ長編ミステリー。 |
貫井徳郎氏の最新作。冤罪と自力救済をテーマにしたストーリーです。おそらく足利事件を意識して作られたストーリーだと思いますが、冤罪が作り上げられていく過程は生々しく、一気にストーリーに引き込まれていきます。登場人物は丁寧に描かれていますし、題材としても大変興味深いのですが、とにかく救いのない話で今の時期に読むのは不適当な感じがしました(世の中に明るい話題が出てきた時に読んだ方がよさそうです。気持ちが滅入ります。)。あと貫井さんにしては全体的に作りが雑でしたし、無駄に長い感じがしました。予想外の結末という謳い文句の割には、クライマックスに入った段階で結末が読めましたし、クライマックスまでの間にちりばめられた伏線もラストでとっ散らかったままでした。半年待ってようやく手元に来た本なのにちょっとがっかりです…。 |