小川洋子「ミーナの行進」

読了日:2011/01/18
個人的評価:★★★★☆
「読売新聞」連載 330ページ(中央公論社・2006/04/25)


<あらすじ>

美しくて、かよわくて、本を愛したミーナ。あなたとの思い出は、損なわれることがない──ミュンヘンオリンピックの年に芦屋の洋館で育まれた、ふたりの少女と、家族の物語。あたたかなイラストとともに小川洋子が贈る、新たなる傑作長編小説。第四十二回谷崎潤一郎賞受賞作



<たーやんの独断的評価>

小川洋子さんの作品はこの本で3冊目。とても安定感のある作家さんですね。安心して読むことができます。何ら特別な題材を扱っているわけではないのに、読者の心をしっかりつかんで離さないところはさすがです。独特のほんわかした世界に誘ってくれます。映画化もされて有名な「博士の愛した公式」と同じテイストです。

ドキドキ・ワクワクするようなストーリーではありませんが、気持ちをとても暖かくしてくれる作品です。舞台が1972年ですので、50歳以上の、特に女性におススメです。小説内小説であるマッチ箱の絵にまつわる小話は秀逸です。ただしファンタジックなテイストが嫌いな方にはおススメできません。