読了日:2010/06/03
個人的評価:★★☆☆☆
「小説新潮」連載 277ページ(新潮社・2010/03/20)
<あらすじ> 「ママは余計なこと考えないで、無事に赤ちゃんを産んでくれればいいの」平凡な主婦みどりは、一人娘で産科医の曾根崎理恵から驚くべき話を告げられる。子宮を失う理恵のため、代理母として子どもを宿してほしいというのだ。五十歳代後半、三十三年ぶりの妊娠。お腹にいるのは、実の孫。奇妙な状況を受け入れたみどりの胸に、やがて疑念が芽生えはじめる。「今の社会のルールでは代理母が本当の母親で、それはこのあたし」。 |
本作品は海堂氏の以前の作品「ジーン・ワルツ」を違う角度から描いた小説で”もう一つの「ジーン・ワルツ」”というところだろうか。「ジーン・ワルツ」では不妊治療、本作品では代理母がテーマになっている。 桜宮市を舞台とする海堂氏の作品も増えてきたので、関連がだんだん複雑になってきた。とは言っても、本作品とかかわりがある作品はせいぜい「ジーン・ワルツ」くらいのもので、しかも「ジーン・ワルツ」未読でも全く差し支えないと思われる。つまり、基本的には舞台となる病院「マリア・クリニック」に登場する面々は「ジーンワルツ」と全く同じだし、起きている出来事も同じ。見る角度が違うだけ。私にしては珍しく「ジーン・ワルツ」のストーリーを覚えていたので、先の展開が分かった状態で読んでも興味が湧かず、なかなか本に手が伸びずにズルズルと2週間もかけて読む羽目になった。 こうなってくると海堂作品のマニアではないと楽しめない領域だ。そろそろネタ切れなのではないか…。読みやすいことは読みやすいのだが、これは明らかに手抜きだろう。売れると思って調子に乗りすぎではないか。 |