読了日:2010/03/30
個人的評価:★★★★☆
「小説現代」連載 222ページ(講談社・2009/07/22)
<あらすじ> 海堂ワールドの新展開、外科医の謎に迫る。世界的権威の心臓外科医はいかにして誕生したのか。旧弊な学界から若くして認められるため、どんな奇策をとったのか。現役医師作家にしか書けない、医者の秘密。 |
昨年「ジェネラル・ルージュの凱旋」を読んだ時に本作品の存在を知り予約をかけた。本作品はノンフィクションである。須磨久善氏は「チーム・バチスタの栄光」の桐生恭一のモデルとなった実在の外科医であることは「プロジェクトX」などのTV放映でご存知の方も多いだろう。 須磨氏の生きざま、如何にして一流になっていったかなどが生き生きと描かれている。本作品は小説というよりも人生の指南書と言うべきか。とは言っても常人には真似ることのできないことばかりかもしれないが…(引用”一人前になるには地獄を見なければならない。だけどそれでは所詮は二流です。一流になるには、地獄を知り、その上で地獄を忘れなければなりません。地獄に引きずられているようではまだまだ未熟ですね”)。頭脳明晰な著者による頭脳明晰な人物の評伝は論理が明快で実に興味深い。"Make it simple"を実践していくのは今の時代にこそ必要なことかもしれない。 |