読了日:2010/03/17
個人的評価:★★☆☆☆
「読売新聞」連載 292ページ(中央公論新社・2009/11/25)
<あらすじ> 家電量販店の店員・遠藤二郎は、イタリアで修行した「エクソシスト」というもう一つの顔を持つ。遠藤は他人の発する「SOS」を見過ごせない性格だった。ある日、知り合いの「辺見のお姉さん」にひきこもりの息子・眞人の悪魔祓いを依頼され、辺見家に赴く。 一方、桑原システムの社員・五十嵐真は、20分間で300億円の損失を出した菩薩証券の株誤発注事故の調査を命じられる。菩薩証券は、ミスの原因をシステムのせいにしたがっているという。聞き取り調査を始めた五十嵐は、なぜか奇怪な幻想に翻弄されていく。 眞人の部屋で「西遊記」を発見する遠藤。そして五十嵐の前には異形の猿が......。これは現実か妄想か。二つの物語のゆくえはいかに。 |
2日で読了したが、読み進めるのがしんどい本だった。端的にいえば、最後まで物語の世界に入り込めなかったということだ。主人公2人の視点で少しずつストーリーが展開していくものかと思いきや読み進めていくと単純にそうでもなく…。前半はまずまず楽しめる内容になっていたと思うが、後半は場面設定も荒唐無稽だし、読者を意図的にミスリーディングさせている部分が多くクライマックスに入る頃になって頭の中が?マークでいっぱいに…。「西遊記」を引用した描写がくどいくらいにあるのだが、私は西遊記についてあまり知らないので、伊坂氏が言わんとしているところがよく分からなかったということも大きいのではないか。結局ダラダラと字面を追っているだけという読書としては最悪の展開になってしまった。それにしてもストーリー上の”キーパーソン”である猿の存在にはずっと違和感があり、読み終わった今でも理解できないまま。案に違わず、ネット上のレビューを見てもあまり芳しくないようだ。 個人的には伊坂氏の作品はあまり好きな方ではないのだが、本作品は特に馴染めなかった。どうにも伊坂氏の人気の理由が私には今一つ分からない…。ちなみに本作品は今年発売される予定である五十嵐大介氏の漫画「SARU」と対になるらしい。 |