読了日:2010/03/15
個人的評価:★★☆☆☆
「日本農業新聞」連載 313ページ(東京書籍・1997/05/31)
<あらすじ> 日本初・最大の公害事件、足尾鉱毒事件。みずからの家族の根をその地にもつ著者が、田中正造と農民たちの、毒の中に生き、闘う様を渾身の筆で描きぬいた、宿命のライフワーク。 |
先月62歳で亡くなった立松氏の作品は初見。「ニュースステーション」の一コーナーのナレーター兼プレゼンターで朴訥とした語り口により注目を浴びる。その後、盗作疑惑があり、TV等での露出が激減。 先日の訃報で久々に立松氏の名前を聞いた。代表的な作品を読んでみようと思い、「遠雷」か本作品かのどちらか図書館にあるものを読んでみようと思って手にしたところ。 本作品は題名からも分かるように足尾鉱毒事件を扱ったもの。小さい頃に田中正造の伝記を読んだことがある人はこの公害事件のことはよくご存じだろう。足尾鉱毒事件に関する本は、中学生の時の読書感想文の課題図書だった城山三郎氏の「辛酸」を読んで以来だ。 全10章から構成されており、章ごとに視点が変わる。視点の主体がなまずであったり、ノミであったり、鯉であったりするところが変わり種で面白い。一方で視点がコロコロ変わるので、なかなか本の世界に没頭させてくれない。 足尾鉱毒事件は小学生の時に読んだ田中正造の伝記で初めて知って、子供なりにかなり衝撃を受けたことは記憶に残っている。この題材でこの出来か?しかもライフワークか?個人的には期待外れ。 |