本多孝好「WILL」

読了日:2010/03/11
個人的評価:★★★☆☆
書き下ろし 322ページ(集英社・2009/10/10)


<あらすじ>

累計30万部超のベストセラー『MOMENT』の待望の姉妹編。『MOMENT』の主人公・神田の幼馴染の女性、葬儀屋・森野の視点で描かれる本作は、前作のラストから7年後の物語。18歳のときに両親を事故で亡くし、家業の葬儀屋を継いだ森野。29歳になった現在も、古株の竹井と新人の桑田、2人の従業員とともに、寂れた商店街の片隅で店を経営する。アメリカに住む幼馴染の神田とは、時折電話で話をする。かつて甘美な関係を築いた彼との今後については、彼女自身が結論を先送りにしたままだ。日々淡々と、社長としての務めを果たす森野のもとに、仕事で関わった「死者」を媒介にした、数々の不思議な話が持ち込まれてくる――。森野葬儀店に依頼された、高校の同級生・杏奈の父親の葬儀。その直後に安奈のもとに届いた”死者からのメッセージ”。一度家族のもとで執り行われた老人の葬儀を「自分を喪主にしてやり直して欲しい」と要求する女。十数年前に森野の両親が葬儀を行った男性の妻の元に通いつめる”夫の生まれ変わり”の少年――「死者」たちが語ろうとするものは何なのか?それぞれに潜む「真実」を、森野は探っていく…。



<たーやんの独断的評価>

「MOMENT」の7年後の物語。「MOMENT」では主人公は神田だったが、本作品はその幼なじみの若くして葬儀屋を営む森野の視点で描かれている。神田はアメリカに住んでいるため脇役的な存在。「プロローグ」、「空に描く」、「爪痕」、「想い人」、「エピローグ」の5篇の短篇からなる連作長編小説。

「MOMENT」を昨年12月に読んだ成り行きで本作品も読むことになったが、もうすでに「MOMENT」の内容がうろ覚えになっていた。一応続編ではあるが、前作との関係は薄く、必要に応じて7年前のことも描かれているので、本作品から先に読んだとしても差し支えはないと思われる。

「MOMENT」と同様、マンガのようなタッチで描かれているので、さらさらと読み進められる。1日で読了。今時の典型的な売れる本なのかもしれない。エンターテイメント性は高いが中身がないので、「読み捨て本」と理解して読んだ方がよいと思う。さらなる続編には期待していない。これで完結でよいのではないか。