矢口敦子「傷痕」

読了日:2010/02/22
個人的評価:★★☆☆☆
書き下ろし 263ページ(講談社・2009/09/01)


<あらすじ>

17年前に殺された弁護士一家の遺族は、いまも「傷痕」をかかえて生きている。主犯格と裁かれた男は死刑になったが、共犯者が仮出所してあらわれてきた。そんなとき、加害者の血をひく大学生が、友人に誘われて出かけた法律サークルの会合で出会い好きになってしまった女子大生は、被害者の一人とおなじ「五条香子」という名前だった―。二人の出会いが、やがて悲しき事件をまきおこす。そして、新たな「傷痕」が―。加害者側にも被害者側にものこる哀しみを描いた、死刑や裁判員制度をも問う心ふるえるミステリー。



<たーやんの独断的評価>

昨夏から始まった裁判員制度、刑事事件の時効見直しとの絡みで最近特にクローズアップされている死刑制度の是非などをよく新聞紙上で目にする。時宜に適ったトピックを柱に据えたミステリー小説であるところが読者の心をくすぐる。オビに書かれたあらすじを見て面白そうだと思い予約をかけたが…。

物語の設定はとてもいいのに、ストーリーに広がりがなく消化不良。読者に次を読ませようとする力に欠ける作品で薄めの単行本にもかかわらず、読了に無駄に時間がかかってしまった。まあ面白くなかったからだろう。矢口氏の作品はここのところずっといまいちなので、そろそろ見切りをつけようか…。