雫井脩介「殺気!」

読了日:2010/01/26
個人的評価:★★★☆☆
書き下ろし 403ページ(徳間書店・2009/09/30)


<あらすじ>

大学生のましろは、12歳のとき、何者かに拉致、監禁された経験があった。無事に保護されたが、犯人は不明のままだ。今、当時の記憶はない。というのも、ひどいPTSDを抱えたため、催眠療法を受け、その出来事を頭に封じ込めてしまったからだった。そのためか、ましろには特異な能力があった。防御本能が極端に強く、周囲の「殺気」を敏感に感じ取ってしまうのだ。ましろの不思議な力に興味を持ったタウン誌記者の次美は、彼女の過去を調べ始める。やがて、拉致・監禁の真相が明らかになるとき、新たに恐るべき事件が…。



<たーやんの独断的評価>

雫井脩介氏の新刊。今回はシャープな雰囲気ではなく、ホンワカ系の青春ストーリーもの。今までの作風とはだいぶ異なる。ラストはそれなりにまとまっているので読後感は清々しいが、これだけの話に400ページも割く必要があったとは思えない。読みやすいことは読みやすいが、ストーリー上、余計な描写が多く、中だるみ箇所が大半を占めていて、いつでも読むのを中断してしまいそうな内容だった。主人公・ましろと彼女を取り巻く人々のキャラはなかなかよい。暇だったら手に取ってみてもよいかもしれないが、敢えて読むほどの本でもないと思う。