荻原浩「オイアウエ漂流記」

読了日:2010/01/06
個人的評価:★★☆☆☆
「週刊新潮」連載 461ページ(新潮社・2009/08/20)


<あらすじ>

塚本賢司、28歳。接待出張で乗り合わせた飛行機が遭難し、なんと、流れ着いたのは水も火もないポリネシアの孤島"賢司をコキ使う上司たち、スポンサー企業の御曹司、挙動不審な新婚カップル、小学生とそのじっちゃん、怪しいガイジン。あり得ないメンバー10人での毎日は、黒〜い本音も秘密の過去も、隠しきれない生活だけど…。



<たーやんの独断的評価>

荻原氏の最新刊。年末年始をまたいで読んでいたせいか、いまいち本の世界に入っていけず、読了するのに時間がかかってしまった。ただ、時間がかかったのは、集中して読まなかったせいばかりでもないだろう。ストーリーの展開が何と言っても一貫して冗長。今まで読んだ荻原氏の作品の中では最も精彩を欠いていたと思う。

飛行機が墜落し、たまたま乗り合わせた10人と1匹が流れ着いた無人島でサバイバルをしていくという設定はありがちであるものの、荻原氏独特のユーモアで読者をつかんで離さないものと期待していただけに…。島に流れ着くまでのくだりに100ページ弱もかけてあり、そして漂着後の島でのサバイバル生活はラストまで大きな展開もなくダラダラと書き綴られているようにしか感じられない。原始生活を強いられる中で、協力しあったり反目しあったりして少しずつサバイバル生活に順応していく、ただそれが描かれているだけだ。こんな調子で500ページ近くも読まされるのはなかなか難儀だ。

個性豊かなキャラクターが丁寧に描かれているところはさすが売れっ子作家だと言えるが、厳しい言い方をすれば、この程度のものならド素人でも書けそうなものだ。好きな作家だけに失望は大きかった…。