篠田節子「聖域」

読了日:2009/12/14
個人的評価:★★☆☆☆
331ページ(講談社・1994/04/20)


<あらすじ>

関わった者たちを破滅へ導くという未完の原稿「聖域」。1人の文芸編集者が偶然見つけるが、得体の知れぬ魅力を秘めた世界へ引きずりこまれる。この小説を完成させようと、失踪した女流作家・水名川泉(みながわせん)の行方を捜し求めるその男は、「聖域」の舞台である東北へ辿りつく。山本賞・直木賞受賞作家の長編サスペンス。



<たーやんの独断的評価>

篠田節子氏の作品を読むのはおそらく2作目。私の印象ではもっとくだけた内容の作品を書く方かと思っていたが、案に相違して、本作品はかなりシリアスで哲学的なもの。テーマとして、宗教や神といったものが扱われている。私はそもそもこういったものに以前からあまり興味の持てない性質なので、なかなか作品の世界に入っていけず、結局読み飛ばしてしまい、あまり良さが理解できず仕舞いだった。主人公が自分の人生を懸けてまで水名川泉に作品の続きを書かせようとする原動力って何だったのだろう…??

ただ、興味のある人にとっては、おそらく読みごたえのある考えさせられるものなのだと思う。表題と同名作品である小説内小説もなかなか難解な内容だが、読む人が読めば奥深さを堪能できるのではないか。

今回はあまり馴染めなかったが、篠田氏はずいぶん幅広いテーマに取り組んでいるようなので、また近いうちに別の作品を読んでみようと思う。