重松清「隣人」

読了日:2009/11/07
個人的評価:★★☆☆☆
雑誌「現代」連載 256ページ(講談社・2001/02/02)


<あらすじ>

直木賞受賞後第1作
バスジャック、通り魔、てるくはのる、ニュータウン……ぼくたちの夢と狂気を追った異色のルポルタージュ作品、誕生!
貴様らに楽しい連休などさせるものか
ルポライターやノンフィクション作家の真似事をするつもりはない。できるとも思わない。ただ、読み物作家として、事件や状況に遅ればせながらの〈蛇足〉を付けてみたかった。そのための〈寄り道〉を、ときには〈無駄足〉の道行きを、読み物としか名付けようのないかたちで書き綴りたかった。――「まえがき」より



<たーやんの独断的評価>

文庫化されたときに「世紀末の隣人」と改題。池袋通り魔殺人事件、テレビのやらせ問題、お受験殺人、てるくはのる、出家ブーム、新潟少女監禁事件、田舎暮らしへの憧れ、バスジャック事件、和歌山ヒ素カレー事件、日産のリストラ策、多摩ニュータウンのゴーストタウン化、AIBO、と20世紀末に注目された話題をテーマにしたルポルタージュ作品。重松氏の作品としてはかなり異色。

新聞、ワイドショー、週刊誌とは違った視点で取り上げているところが興味深い。重松氏はこの作品を書くまでは取材をほとんどしたことがなかったそうだ。直木賞受賞後にちょっと目先を変えてみようとしたのだろうが、その試みは失敗か??10年以上前の出来事を懐かしく思いながら読んだが、こういうテイストならばノンフィクション作家に書かせた方が一枚上手だろう。やはり「らしさ」が出ていなかったところが残念だ。