山田悠介「自殺プロデュース」

読了日:2009/09/29
個人的評価:★★☆☆☆
書き下ろし 219ページ(幻冬舎・2009/06/25)


<あらすじ>

深夜のビルの屋上に、管弦楽の生演奏が響き、男がそこから飛び降りた。内臓の飛び出た死体に、演奏していた女たちが群がる。ある女は死体の写真を撮りまくり、ある女は興奮してカッターで自分の身体を切りつける。白川琴音の喜びは、美人指揮者・真理乃が率いる大学の極秘サークル「レーヴ・ポステュム(死後の夢)」のメンバーとして、自殺する者のために、美しい音楽を奏でること。が、ある日、自殺志願者が「やっぱり死ぬのをやめる」と言った途端、真理乃が豹変。自殺者の最期に魅入られた六人組が、”完璧な死”を求めて狂気の暴走を始める。山田作品史上、もっとも妖しく、もっとも残酷なサスペンス・ホラー。



<たーやんの独断的評価>

内容的には★一つで十分だ。読みやすさで一つおまけの★を加えただけ。相変わらずの下らなさ満点。今回のストーリーはRPG的ではなかったが、実に内容が空虚だ。暇つぶし程度にしかならない。

前半は読者に結末を期待させるような展開でなかなか興味深かったが、結局のところ広げた風呂敷には何も入っていなかったという感じだ。あまりの結末のお粗末さに唖然とした。これはやっつけ仕事としか言いようがない。連載モノではなく書き下ろし作品なのだから、もう少し構想を練って仕上げてほしかったところだ。

山田氏は速筆らしいが、ほとんど文献を参考にしたり取材したりしていないようだ。前半部分で「オーボエは低音楽器だが…」のくだりがある。オーボエはト音記号の楽器なんですけどねえ。作品にかける熱意が如何ほどか知れたものだ。数を打てば当たると思っているのだとしたら、読者から見放される日も遠くないのではないか。