読了日:2009/09/17
個人的評価:★★★☆☆
書き下ろし 318ページ(集英社・1998/10/30)
<あらすじ> 倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に大仕事が舞いこんだ。ところが、その中身はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、というとんでもない代物。担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。社の未来と父親としての意地を賭けて、杉山は走りだすが―。気持ちよく笑えて泣ける、痛快ユーモア小説。 |
「オロロ畑でつかまえて」の続編で、荻原氏の第2作。アル中寸前のコピーライターの杉山、倒産寸前の広告代理店・ユニバーサル広告社の社長の石井、アートディレクターの赤毛長髪長身の村崎、アルバイトの猪熊(衝撃の出自判明!?)などおなじみのメンバーが繰り広げるドタバタ劇。「オロロ〜」を未読でも本作品を読む上で全く支障はない。オロロ豆と牛穴村の話が一瞬回想談として出てくる程度だ。 今回はヤクザ小鳩組のイメージアップの仕事を請けることになってしまう。怖いおじさん達もどこかコミカルでマヌケな一面を見せたりと人間味あふれていて身近に感じることができるだろう。魅力たっぷりの登場人物たちのドタバタ・奔走劇に杉山父娘の微笑ましいやり取りを交えながら物語が展開していく。会話も漫才のようなやりとりでユーモアにあふれている。最後には読者をホロリとさせるところがさすがだ。読後感は爽やか。 でも、理由はよく分からないが、いまいち読み進めさせる力を感じなかった。いつもの読むのをやめられないような感覚がなかったのは自分自身の気持ちが乗らなかっただけのせいだろうか…。同じようなテイストである「オロロ〜」の方が個人的には面白かったように思う。ただ、彼らの今後を知りたいと思う読者は多いと思う。そんな終わり方だった。続編が書かれることを望む。 |