雪深い町で育った桜庭菜穂子、和貴子姉妹。姉の菜穂子は地元の大学に進学し、そのまま大学の助手を、妹・和貴子は東京の大学を卒業後、故郷に戻り、ラジオ局でDJをしている。姉が中学時代に淡い想いを抱いていたクラスメート・樫村と和貴子が婚約したことを発端に二人の心の溝は広がっていったが―。雪国を舞台に姉妹の心の成長と和解を描いた感動の物語。
読了日:2009/08/09
個人的評価:★★★★☆
書き下ろし 227ページ(文藝春秋・2005/12/10)
<あらすじ> 雪深い町で育った桜庭菜穂子、和貴子姉妹。姉の菜穂子は地元の大学に進学し、そのまま大学の助手を、妹・和貴子は東京の大学を卒業後、故郷に戻り、ラジオ局でDJをしている。姉が中学時代に淡い想いを抱いていたクラスメート・樫村と和貴子が婚約したことを発端に二人の心の溝は広がっていったが―。雪国を舞台に姉妹の心の成長と和解を描いた感動の物語。
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浅倉氏の作品は初見。「四日間の奇蹟」で『このミステリーがすごい!』大賞・大賞金賞をとったことをきっかけに本業作家になった同氏。本屋で平積みになっている単行本をよく目にしていたので、試しに図書館で借りてみた。本作品が四作目だそうだ。三作目の「雪の夜話」の主人公親子が本作品のチョイ役で登場しているとのこと。 精神的に近い距離にいるからこそ、嫉妬したり、誤解したり、憎んだり、羨んだりしてボタンをかけ違ってしまった二人の姉妹が心の成長を遂げてついには心の底から和解できるというありきたりな話だが、読了後には心がじんわりとするなかなかいい話だ。ただ、特にドラマチックな事件も起きないし、淡々とありふれた日常を描きながら展開していくところが物足りないと感じる人も多いだろう。 実際に姉妹というのはどういう感じなのか私には分からないが、それにしても、男性である筆者が思春期や婚期の女性の内面をよく描けるものだ。菜穂子の回想シーンと和貴子のリスナーへの語りかけを通して双方の心の動きを丁寧に描いているところがなかなか上手い。 |