森絵都「リズム」/「ゴールド・フィッシュ」


「リズム」
読了日:2009/07/30
個人的評価:★★★★☆
書き下ろし 189ページ(講談社・1991/05/27)

「ゴールド・フィッシュ」
読了日:2009/07/30
個人的評価:★★★★☆
書き下ろし 189ページ(講談社・1991/11/20)


<あらすじ>

【リズム】
ガソリンスタンドで働きながらロックバンドで歌をうたう、いとこの真ちゃん。そんなハデな真ちゃんに、まゆをひそめる人もいるけれど…。小さいころから大すきだった真ちゃんの家族が、ばらばらになってしまうかもしれないと知った、さゆきは…。

【ゴールド・フィッシュ】
新宿へいってしまった真ちゃん、いつのまにか大人びてきたテツ、そして高校受験をひかえ、ゆれるさゆき。3人の<リズム>のゆくえは――。いまから将来と進路を決めなきゃならないなんて。将来「なる」ものをずっと決めてた人が、あっさりとあきらめちゃうなんて。でも、だいじょうぶ。あたしの夢・真ちゃんが、光の中で歌いつづけているかぎり――。と、思っていたさゆきだったが……。



<たーやんの独断的評価>

「リズム」は森絵都氏が20歳の時に書いていたものを23歳で発表した処女作で、主人公・さゆきが13歳の時の話、「ゴールド・フィッシュ」は「リズム」の続編で、さゆきが15歳の時の話である。20年前の作品だということもあり、死語になっている「ナウい」が使われたりしている。

本の厚みがあまりないこともさることながら、各ページの字数が今まで見たことないほど少ない。あっという間に読み終わるだろう。文庫は図書館の予約が多少入っていたので、すぐに借りることができる単行本にした。

主要な登場人物であるさゆき、真ちゃん、テツは今のご時世あり得ないほど純粋で、読者は心が洗われることだろう。読後感も極めて爽やか。ただ、全体的にほのぼのし過ぎていて、まったりとしているので、展開がスピーディなものを期待している人には物足りないかもしれない。特に男性には若干退屈かもしれない。いずれにしても、2作セットで読むことをおススメする。