高校1年の千幸と中学3年の夕美姉妹は、ある朝、父が電車内で痴漢をし、咎めた男性を線路に転落死させたと知らされる。二人は偶然出会った大学生たちの力を借り、父の汚名を晴らそうとするが…。10年後、看護師として一人働く千幸の前に、忌まわしい過去を彷彿させる女性が現れる。そして、哀しくも驚くべき真実が明らかになる。
読了日:2009/07/23
個人的評価:★★★☆☆
書き下ろし 266ページ(幻冬舎・2009/03/10)
<あらすじ> 高校1年の千幸と中学3年の夕美姉妹は、ある朝、父が電車内で痴漢をし、咎めた男性を線路に転落死させたと知らされる。二人は偶然出会った大学生たちの力を借り、父の汚名を晴らそうとするが…。10年後、看護師として一人働く千幸の前に、忌まわしい過去を彷彿させる女性が現れる。そして、哀しくも驚くべき真実が明らかになる。
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痴漢の濡れ衣を着せられたまま、男性は自殺、そして家族が崩壊。極めてありがちな展開で、結末もだいたい予想がつく。2時間ドラマの脚本のようなストーリーで、扱っているテーマの割にはお手軽に読める本である。 女性にとって痴漢は恐ろしいものだというのは言うまでもないが、痴漢の冤罪というのも、満員電車で通勤する男性にとって実に恐ろしいものだ。何もしていなくても、女性が痴漢だと騒げば周囲の人々は間違えなく犯人扱いするだろう、そして警察に突き出されて、金銭による示談に持ち込まれたら、不用意に支払ってしまう人も少なからずいるだろう。以前、関西の方で示談金をせしめるために痴漢をでっちあげるカップルが逮捕されたことがあった。それを考えるといつ自分が被害者になるか分かったもんではない。だから、個人的には女性専用車両だけでなく、男性専用車両も作るべきだと思うのだが…。明らかに現状は逆差別だろう。とりあえず、満員電車では吊り皮をゲットすべし! それはさておき、ストーリーは実に平凡でいま一つ面白みに欠ける。あらすじにあるような「驚くべき真実」なんてあったかなあ。ただ、読みやすいので暇つぶしにはうってつけである。矢口氏の作品を読むのは4作目だが、どれも読みやすいが底が浅いという印象がある。どの本も本屋で平積みになっていてよく売れているようだが…。図書館で予約してから3か月待たされたが、それほどの価値はなかったかもしれない。 |