山田悠介「パズル」

読了日:2009/07/22
個人的評価:★★☆☆☆
書き下ろし 285ページ(角川書店・2004/06/10)


<あらすじ>

「これから私達は、この校舎の様々な所に、2,000ピースのパズルを隠していく。それを君達が探し出し、机の上に置いてある枠にはめていき、パズルを完成させる。ただそれだけだ。どうだい?面白いとは思わないか?やるやらないは自由だ。今すぐに家に帰ってもいい。だが48時間が経っても君たちがパズルを完成させられなかった場合、この教師の頭をぶち抜く」。超有名進学校の、さらにエリート中のエリートだけが選りすぐられたクラスが、正体不明の武装集団に占拠された。人質とされた性格最悪の担任教師を救うには、広大な学校敷地内にばら撒かれた2,000ものピースを探し出し、パズルを完成させるしかない。だが、目の前で見せしめにクラスメートを射殺され、パニックに陥った生徒たちからは参加を拒否する者、逃げだす者が続出。タイム・リミットは刻々と迫る。さらに、少しずつ集められてゆくピースからも、予想だにしない「絵」が浮かび上がる!狂気のパズルは果たして完成するのか?そして謎の武装集団の目的とは?



<たーやんの独断的評価>

今まで山田悠介氏の作品を何作か読んできたが、毎回パターンが同じ。突飛な設定で始まり、理不尽な要求に耐えながら目的を果たすまでひたすらもがき苦しむ狂気のゲーム。いい加減、同じような設定では読者に飽きられるのではないか。それに映像化されることを狙っているような商業主義も見え隠れするところが気に入らないが、たしかに読みやすいし、エンターテイメント性はそれなりには高いと思う。

読んでいて楽しめるが、読書をしたというよりも、ゲームを楽しんだような感じだ。今のご時世、特に中高生あたりにはこういうゲーム感覚的なストーリーがウケるのだろうか。もともと山田氏は「読書をしなくてもベストセラー作家になれる」ということで注目されているだけあって、正統派の読書をしたい人にはおススメできない。

最初から何となく結果が見えていたような感じだったし、肝心のクライマックスで創作意欲が萎えてきたのか、展開が稚拙で冗長、登場人物のキャラも魅力的ではないため、タラタラ読んでいたら途中で飽きてしまいそうだ。もし本作品を読むならば一気に読了すべし。何日もかけて読むほどの本ではない。

図書館から山田氏の本がもう一冊来てしまった。今度はラブストーリーらしいが、また同じような設定だったら彼の作品は当分読まないだろうな。