警視庁人事二課の環敬吾が率いる影の特殊工作チーム。そのメンバーのある者は私立探偵であり、托鉢僧であり、また肉体労働者である。今回の彼らの任務は、警察組織が解明し得なかった、自称・ジーニアスが企てた巧妙な誘拐事件。『症候群シリーズ』第二弾。再び現代の必殺仕置人が鮮やかに悪を葬る。
読了日:2009/07/21
個人的評価:★★★☆☆
「小説推理」連載 386ページ(双葉文庫・2001/05/20)
<あらすじ> 警視庁人事二課の環敬吾が率いる影の特殊工作チーム。そのメンバーのある者は私立探偵であり、托鉢僧であり、また肉体労働者である。今回の彼らの任務は、警察組織が解明し得なかった、自称・ジーニアスが企てた巧妙な誘拐事件。『症候群シリーズ』第二弾。再び現代の必殺仕置人が鮮やかに悪を葬る。
|
症候群シリーズの第二弾。第一弾「失踪症候群」は未読、第三弾「殺人症候群」は何年か前に読んだが、全くストーリーを覚えていない。ストーリーはそれぞれ独立しているが、主要な登場人物は共通なので、順番に読んだ方がよいだろう。私の場合はシリーズものだと知らずに「殺人症候群」から読んでしまった。 間の悪いことに、たまたま貫井氏原作「光と影の誘惑」の2時間ドラマを見たばかりで、これも誘拐モノだったためか、ストーリーが混ざってしまい、前半で張られた伏線がごちゃごちゃになってしまった。さらに、本作品の中で二種類の誘拐が起きて、それぞれの事件の種明かしの段階で混乱してしまい、そのまま終わってしまったような感じだった。眠いなあと思いながら読んでいたせいもあるかもしれないが…。それだけ夢中にさせる何かが足りなかったように思う。 本作品は「ウェブ・ログ(Web Log)=ブログ」を利用した犯罪を扱った推理小説のハシリらしい。今でこそ猫も杓子もブログを書いているが、本作品が雑誌に連載された97年当時にブログを書いていた人はまだごくわずかだっただろう。自分の私生活をインターネットで公表するということは、それを悪用されるかもしれないというリスクを負うことになる。また、知能犯がチャットなどを媒介にして他人を誘導して知らず知らずのうちに犯罪に手を染めさせてしまうところなどは、10年以上経った現在から見ても色褪せておらずリアリティ満点だ。 |