自称青年実業家のヨコケンこと横山健司は、仕込んだパーティーで三田総一郎と出会う。財閥の御曹司かと思いきや、単なる商社のダメ社員だったミタゾウとヨコケンは、わけありの現金強奪をもくろむが、謎の美女クロチェに邪魔されてしまう。それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は、美術詐欺のアガリ、10億円をターゲットに完全犯罪を目指す!が…!?直木賞作家が放つ、痛快クライム・ノベルの傑作。
読了日:2009/07/18
個人的評価:★★★★☆
「小説すばる」連載 333ページ(集英社文庫・2006/11/25)
<あらすじ> 自称青年実業家のヨコケンこと横山健司は、仕込んだパーティーで三田総一郎と出会う。財閥の御曹司かと思いきや、単なる商社のダメ社員だったミタゾウとヨコケンは、わけありの現金強奪をもくろむが、謎の美女クロチェに邪魔されてしまう。それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は、美術詐欺のアガリ、10億円をターゲットに完全犯罪を目指す!が…!?直木賞作家が放つ、痛快クライム・ノベルの傑作。
|
パーティー屋のヨコケン、三田物産に勤めているミタゾウ、クールな美女であるクロチェ、偶然知り合った25歳の3人がタッグを組むことになり、10億円をゲットしようとあれこれ策を練って強奪しようとするコメディーチックなドタバタ劇である。 一貫して軽快なタッチで描かれており、ストーリーも単純だし、難しい伏線があるわけでもなく、展開も非常に速いので、頭を使わずにサラッと読める。通勤電車での読書向きの作品だ。一応、本作品はクライム・ノベルに分類されており、10億円詐欺・強奪というとんでもない犯罪であるにもかかわらず、読後感は爽快。やはり、憎めないキャラばかりが集っているためだろうか。特にミタゾウがいい。こんなキャラの持ち主はなかなかいないのではないか。 それにしても奥田英朗という作家は、実にたくさんの「袋」を持っている。作品の傾向が似ている作家が多い中で、奥田氏の作品は良い意味で毎回期待を裏切ってくれて、ホントに楽しませてくれる。肩の力を抜いて読める娯楽小説を書かせたら天下一品だ。 |