柚月裕子「臨床真理」

読了日:2009/07/09
個人的評価:★★★☆☆
書き下ろし 330ページ(宝島社・2009/01/24)


<あらすじ>

臨床心理士の佐久間美帆は、勤務先の医療機関で藤木司という二十歳の青年を担当することになる。司は、同じ福祉施設で暮らしていた少女の自殺を受け入れることができず、美帆に心を開こうとしなかった。それでも根気強く向き合おうとする美帆に、司はある告白をする。少女の死は他殺だと言うのだ。その根拠は、彼が持っている特殊な能力によるらしい。美帆はその主張を信じることが出来なかったが、司の治療のためにも、調査をしてみようと決意する。美帆は、かつての同級生で現在は警察官である栗原久志の協力をえて、福祉施設で何が起こっていたのかを探り始める。しかし、調査が進むにつれ、おぞましい出来事が明らかになる。



<たーやんの独断的評価>


本作品は「屋上ミサイル」と並んで『このミステリーがすごい!』大賞2009年第7回大賞受賞作である。有名なところでは、第4回大賞受賞作が海堂尊氏の「チーム・バチスタの栄光」である。

非常に読みやすく、序盤からハイテンポな展開に一気にストーリーに引き込まれる。ただ、途中から事件の真相が見えてしまい、中盤以降の展開に飽きてきてしまった。また、作品を書くにあたって取材・勉強が足りていないようで、医学、救急に関して間違いがたくさん記述されているようだ(私にはよくわからないが…)。いずれにしても、2時間サスペンスの域を出ないものである。旅行中の暇つぶしや眠れない夜に読む程度の本かなと思う。少なくとも、わざわざ単行本を買ってまで読むほどのものではないと思う。一気に1日で読了できるのでお手軽ではある。