山本直治「実は悲惨な公務員」

読了日:2009/06/09
個人的評価:★★★☆☆
252ページ(光文社新書)


<あらすじ>

グータラなくせにクビがない税金泥棒!----激しいバッシングを受けて、意気消沈する公務員たち。
しかし、「築30年超のオンボロ宿舎が4割」という生活実態が象徴するように、「お気楽天国」の内実をつぶさに観察するならば、知られざる悲惨な実態が浮かび上がる。
「倒産」の不安におびる者や、逃げ出す若手が後を絶たないお役所は、いまや泥船といってもいい過ぎではないのだ。
本書は、官から民に転職した著者が、「就職人気No.1」職業の虚像と実像を徹底レポートする。
あなたは、これでも公務員がうらやましいですか?
あなたは、それでも公務員をめざしますか?



<たーやんの独断的評価>

久々の新書読了。

著者は文部科学省の元キャリア官僚で、現在は退職して人事コンサルタントで勤務しているという異色の経歴の持ち主。世の中、公務員バッシングの本やコラムなどは掃いて捨てるほどあるが、役人の立場から書いた著書というのは極めて異例なものだ。また著者は、日本初の公務員向け転職支援情報サイト「公務員からの転職支援 役人廃業.com」を主宰している。

書いてある事実は、私の経験から言っても正しいと思う(実に霞が関の実態をよく書き表している)が、著者が既にアウトサイダーになったにもかかわらず、コメントについては役人寄りであるところが多々散見される。役人である私から見ても、独特の「役所の論理」で書きすすめられているような気がしてならない。もう少し公平な立場で書かないと単なる役所擁護だといわれ、更なるバッシングを引き起こすのではないかという懸念がある。

これって、一般の人から見れば、「役人も大変だっていうことを国民の皆さんも分かってね」と言っているに過ぎないと思われはしないだろうか。

やはり、私がこのように思うのは、14年目にもなるのに未だに「霞が関の論理」に染まっていないということなのか?