重松清「サンタ・エクスプレス」

読了日:2009/04/22
個人的評価:★★★☆☆
産経新聞等連載269ページ(文藝春秋)


<あらすじ>

なっちゃん、きみはいつか
この特別な一日を思い出すだろうか。

鈴の音ひびく冬が、いとおしい人の
温もりを伝えてくれる
ものがたりの歳時記――「冬」の巻、12編

あっつあつの、ほっくほく/コーヒーもう一杯/冬の散歩道/
サンタ・エクスプレス/ネコはコタツで/ごまめ/火の用心/
その年の初雪/一陽来復/じゅんちゃんの北斗七星/
バレンタイン・デビュー/サクラ、イツカ、サク



<たーやんの独断的評価>

昨年の3月に出版した「ツバメ記念日」に始まった「季節風シリーズ」の最終巻。春夏秋冬それぞれが独立したストーリーであり、その中の短編も独立した作品である。図書館から予約の本がいっぺんにドッと届いてしまった中に「季節風・秋 少しだけ欠けた月」もあったが、順番に読む必要がないと判断して読まずに返却してしまったので、冬を先に読むことになった。

冬は寒いので嫌いな人が多いかもしれないが、個人的にはかなり好きな季節だ。重松氏も最も好きな季節らしいので、どんなハートウォーミングなお話を書いてくれたのだろうかと楽しみにしていたが、風物詩はそれぞれで出てくるものの、「春」、「夏」に比べて、特徴的な季節感をおぼえるようなお話はあまりなかったように思える。冬ならではの良さと言うのがいま一つでていなかったように思える。でも一つ一つの作品は心を打つもの、痛く共感できるものばかりの珠玉の作品集であることは間違いない。

この12編の中では「サンタ・エクスプレス」、「ネコはコタツで」、「じゅんちゃんの北斗七星」が特におススメ。もしかしたら、冬に読んで重松氏の温もりのあるストーリーに心を温めてもらうともっと良さがわかるのかもしれないので、手にするのは冬まで待った方がよいのかもしれない。