つらいときは、
ここに帰ってくればいい。
昭和37年、ヤスさん28歳の秋、長男アキラが生まれた。
愛妻・美佐子さんと、我が子の成長を見守る日々は、
幼い頃に親と離別したヤスさんにとって、
ようやく手に入れた「家族」のぬくもりだった。
しかし、その幸福は、突然の悲劇によって打ち砕かれてしまう―。
我が子の幸せだけを願いながら悪戦苦闘する父親の、
喜びと哀しみを丹念に描き上げた、重松清渾身の長編小説。