読了日:2009/03/30
個人的評価:★★☆☆☆
書き下ろし360ページ(講談社)
<あらすじ>
昭和21年、帰らなかった誘拐児。悲劇はそこから始まった――。
緊迫の推理。かつてなく切ないラスト。圧倒的筆力で描く興奮、そして涙。
終戦翌年の誘拐事件。身代金受け渡し場所、闇市。犯人確保に失敗。そして15年後、事件がふたたび動き出す――。人間の非情と情愛を見つめる魂の物語。
選考委員、大沢在昌氏、東野圭吾氏、推挙!
●大沢在昌氏「昭和36年という舞台を描いて、無理を感じさせないその筆力に、まず可能性を感じた。」
●東野圭吾氏「文章、ストーリー、人物描写、すべてが安定している。場面転換も巧みで、読者を飽きさせない。」
|
<たーやんの独断的評価> 戦後の混乱期の誘拐に端を発して15年後に再び事件に光が当たるという時代設定にとても興味を覚えて、しかも本屋に平積みになっているのを見て図書館に予約をしてみた。
戦後の混乱期の誘拐の描写はビビットで今後の展開を期待させるだけのものがあり、また読み進めやすいストーリー展開でもある。
ただ、とにかく登場人物が多い、しかも章が変わるたびに物語を進める視点が変わるので、ストーリーの流れを理解しにくく、読み返すこともしばしば。また、事件を解決しようとする刑事が2組4人いて、この4人に特徴があまりないため、それぞれが今どんな事実を掴んで解決に向かってどれだけ進んでいるのかを整理できなくなる。結構、短期間で集中して読んだので、おそらくこのような感想を持つのは私だけではないと思う。
あと、ネタバレになるので詳しくは書けないが、延々と積み上げてきたストーリーとは別の流れで結末を迎えてしまうというような唐突な印象だけが残った。これが江戸川乱歩賞なのか??東野氏や天童氏はホントに絶賛しているのか。「該当作品なし」を避けるために無理無理決めたのではないかと思ってしまう…。
|