読了日:2009/02/24
個人的評価:★★★☆☆
産経新聞連載398ページ(文藝春秋)
<Review> 歳時記シリーズの第2弾。「親知らず」、「あじさい、揺れて」、「その次の雨の日のために」、「ささのは さらさら」、「風鈴」、「僕たちのミシシッピ・リバー」、「魔法使いの絵の具」、「終わりの後の始まりの前に」、「金魚」、「べっぴんさん」、「タカシ丸」、「虹色メガネ」のすべて夏をテーマにしたハート・ウォーミングな小品の数々。 夏といえば…何を想像するだろうか。重松氏にとって「夏」とは「終わり」の季節なのだそうだ。たとえば、お盆=亡くなった(人生を終えた)人が帰ってくる時期、終戦、祭りのあと(終わり)の際立つ寂しさ、等々。私には田舎がないのであまりイメージできないが、ご先祖様が戻ってくるお盆、その機会に亡くなってしまった親や親友たちとの思い出に浸る、一般的にはそんな季節なのだろうか、また、高校球児が甲子園の夢に破れて、次の一歩を踏み出そうとする季節、田舎に帰省する季節、いろいろあるだろう。 その中で、個人的には、「ささのは さらさら」と「タカシ丸」はいずれも父親が若くして妻子を残してガンで逝ってしまう(しまった)という設定で家族愛がよく描かれていて、この2作が一押し、息子を持つ父親としてはどうしてもこういうストーリーに肩入れしてしまう。 「春」の巻の方がいい作品が多かったような気はするが、全般的に読後感が爽やかで感慨深いものばかりだ。お手軽に読めるので、この歳時記シリーズはおススメ。 それにしても、なんで本の題名が「僕たちの〜」なんだろうか。この中ではイマイチだったような気がするが…。 |