宮部みゆき「おそろし 三島屋変調百物語事始」

読了日:2009/02/13
個人的評価:★★☆☆☆
雑誌『家の光』連載429ページ(角川書店)

テキスト ボックス: 〜オビの解説より〜
17歳のおちかは、実家で起きたある事件をきっかけに、ぴたりと他人に心を閉ざしてしまった。ふさぎ込む日々を、江戸で三島屋という店を構える叔父夫婦のもとに身を寄せ、慣れないながら黙々と働くことでやり過ごしている。そんなある日、叔父・伊兵衛はおちかを呼ぶと、これから訪ねてくるという客の対応を任せて出かけてしまう。おそるおそる客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていく。いつしか次々に訪れる人々の話は、おちかの心を少しずつ溶かし始めて…

哀切にして不可思議。
宮部みゆきの「百物語」、ここに始まる!


























<Review>

宮部氏の連作長編時代小説。第一話「曼珠沙華」、第二話「凶宅」、第三話「邪恋」、第四話「魔鏡」の独立した4つの世にも不可思議な物語が最終話「家鳴り」でフルキャスト出演して一つの物語として完結する構成になっている。

時代物というと著者は男性が多いが、同氏の時代物は女性ならではの視点で女性を主人公にして江戸時代の庶民生活を生き生きと描いているのでオリジナリティがあって面白い。評判の本だけに図書館の予約もかなり待って、期待に胸をふくらませて読み始めた。サラサラと読み進められるが、内容がファンタジックなため、次第に私の中に違和感が…。別にリアリティだけを求めているわけではないが、どうもしっくりこない。プロットが突飛(内心「ありえねー」と思う箇所が多々あり)だし、まるで子供だましのような「こわーいお話」的な感じで、正直ガッカリした。最終話までくると他の物語の内容を忘れてしまって読み返す始末。全然心に響かなかった…。でも世間の評価は高いようなので、興味があれば読んでみたら如何。

本作品が百物語の書き始めとなるようで、宮部氏のライフワークとして今後長く書き続けられるようだ。でも、この手のお話だったら読むのはやめようかな…。

宮部さん、どうしたんすか!もう少し頑張ってほしいな。『模倣犯』以降の作品で面白かったのは『名もなき毒』くらい、どうも冴えない作品が続いていると感じるのは私だけだろうか…。