海堂尊「ひかりの剣」
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読了日:2009/01/16
個人的評価:★★★★☆
オール讀物連載320ページ(文藝春秋)

テキスト ボックス: 〜オビの解説より〜
バブル景気真っ盛りの1988年
東城大医学部剣道部の猛虎、速水晃一
帝華大医学部剣道部の伏龍、清川吾郎
剣の才能を持つふたりの男が、全存在をかけて戦う。そしてその戦いの陰には、帝華大から東城大佐伯外科に招聘された阿修羅、高階顧問の姿があった。

医療ミステリーの旗手が放つ、初の青春小説!


















<Review>

医大剣道部の青春モノで、医学の話はほとんどなし。『ジェネラル・ルージュの凱旋』の速水と『ジーン・ワルツ』の清川、対照的なタイプの二人が医学生時代に医鷲旗(いわゆる優勝旗、これを手にした者は外科医として大成するという逸話がある)をめぐって剣道で鎬を削る話。剣道の試合のシーンや雪辱に燃え研鑚を積むシーンは展開が速く飽きずにさらっと読めるし、読後感も爽やかである。ただ、如何せん内容が軽くあまり心に残らなかった。まあ重いテーマが背景にあるというわけではないから仕方ないか…。『ジェネラル・ルージュの凱旋』と『ジーン・ワルツ』は未読でも読む上で全く差し支えない(私の記憶では、両作品で剣道の話は出てこなかったような気がするが…。)と思うが、『ブラックペアン1988』とは時期的にも重なっていて、同じシーンを別の角度から描いているところもあるので、『ブラックペアン1988』読了後に本作品を読んだ方が楽しめると思う。それにしても、ストーリー上の鍵を握る立場にいる高階先生、ホントに食えない奴だ、まさに狸オヤジ。