読了日:2009/01/10
個人的評価:★★★★☆
産経新聞連載326ページ(文藝春秋)
<Review> 歳時記シリーズの第1弾。春は親元や慣れ親しんだ故郷を離れる季節でもあり、一方で、昔の思い出に浸る季節だ。大切な人や物たちからの「巣立ち」等にまつわる、人それぞれの物語が短編になっている。個人的には春は新しい環境に身を置かなくてはならないストレスを感じる季節だけに、「お兄ちゃんの帰郷」などは思わず共感してしまう。特に春に異動が控えている年などは他人事とは思えない…。はぁ〜。それはともかく、どの物語も20〜30ページ程度の短編だが、登場人物の人生がよく描かれていて、家族愛が凝縮された珠玉の小品。心にじ〜んとくること間違いなし。読後感は極めて爽やか! 重松氏の家族モノは実にいい。心が暖かくなるし、思わず感情移入してしまう。どぎつい内容の本を読んだ後に中和剤として読んでみるのもひとつ。歳時記シリーズの残りの3作はすでに図書館で予約済みなので本が来るのが待ち遠しい。 |