三浦しをん「光」
光

読了日:2008/12/27
個人的評価:★★☆☆☆
「小説すばる」連載297ページ(集英社)

テキスト ボックス: 〜オビの解説より〜
天災ですべてを失った中学生の信之。共に生き残った幼なじみの美花を救うため、彼はある行動をとる。二十年後、過去を封印して暮らす信之の前に、もう一人の生き残り・輔(たすく)が姿を現わす。あの秘密の記憶から、今、新たな黒い影が生まれようとしていた――。

暴力はやってくるのではない。帰ってくるのだ。















<Review>

南米大陸を震源とする大地震により発生した津波で、伊豆諸島にある架空の「美浜島」の島民はほぼ全滅し、生き残った彼らが犯してしまった「暴力」が、二十年後の「暴力」のトリガーとなる…。私にとっては、同氏がダークなテーマを扱っているという意味で新鮮味があったが、設定は興味深いのにありがちな展開・結末で、どうも印象に残らないものだったように思う(同氏の『私が語り始めた彼は』もダークなテーマだったが、やはりいまひとつだった。)。『風が強く吹いている』や直木賞をとった『まほろ駅前多田便利軒』のような単純で明るいストーリーの方が得意なのではないか。