重松清「その日のまえに」
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読了日:2008/12/08
個人的評価:★★★★★
「文芸春秋」連載365ページ(文春文庫)

テキスト ボックス: 〜オビの解説より〜
僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。













<Review>

愛する人との永遠の別れを題材にした短編集。一見独立した短編集のように見えるが、前半の4つ
の短編に出てきた人物が後半の連作短編(「その日のまえに」、「その日」、「その日のあとで」)に
脇役として登場するなどしてリンクしている。全ての短編の登場人物はごく普通の家庭人であるが、
自ら若しくは自らの大切な人の死に直面している。重松氏の小説は、家族の愛をテーマにしてい
て、ホントに心が温かくなる物語が多い。最近読了した同氏の作品の中では「カシオペアの丘で」と
並んで秀逸だ。人に対して優しい気持ちになりたい時には本作品を読めばきっと癒されるだろう。登
場人物はみんな心がきれいで優しくて健気に生きているところが読者の胸を打つ。私の2008年の
ベスト5に入る作品!!どうもこの手の作品に弱いんだな…。