伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」
http://www.shinchosha.co.jp/images/book_xl/459603.jpg

書き下ろし503ページ(新潮社)
読了日:2008/11/11
個人的評価:★★★☆☆

テキスト ボックス: 〜オビの解説より〜
仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている、ちょうどその時、青柳雅春は、旧友の森田森吾に、何年かぶりで呼び出されていた。昔話をしたいわけでもないようで、森田の様子はどこかおかしい。訝る青柳に、森田は「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」「金田はパレード中に暗殺される」「逃げろ!オズワルドにされるぞ」と、鬼気迫る調子で訴えた。と、遠くで爆音がし、折しも現れた警官は、青柳に向かって拳銃を構えた―。精緻極まる伏線、忘れがたい会話、構築度の高い物語世界―、伊坂幸太郎のエッセンスを濃密にちりばめた、現時点での集大成。



















<Review>

本作品はケネディ大統領暗殺をヒントに書かれており、現首相がパレード中に暗殺されるという設定が酷似している。犯人として仕立て上げられたオズワルドに相当するのが主人公の青柳。国家的な謀略により完璧なまでに犯人に仕立て上げられる。複雑に張り巡らされる伏線、巧みに操る時間軸を構成しながら、怒涛の勢いでストーリーを展開していくところは圧巻である。伊坂氏のファンは秀逸だと言うと思う(読者の一般的な評価は高い!)が、私にとってはいささか内容が荒唐無稽に思える、しかも、あれほどの危機を再三切り抜けるなんて現実的じゃない(ハリウッド映画のようだ…)。ただ、青柳が逃げ続ける2日間の濃密な内容に、グイグイ惹き寄せられ、一気に読了できる。ちなみにタイトルはビートルズの曲『Golden Slumbers』からとっている。