海堂尊「ブラックペアン1988」
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読了日:2008/11/01
個人的評価:★★★★★
「小説現代」連載317ページ (講談社)

テキスト ボックス: 〜オビの解説より〜
驚愕手術の結末!
外科研修医世良が飛び込んだのは君臨する”神の手”教授に新兵器導入の講師、技術偏重の医局員ら、策謀渦巻く大学病院……大出血の手術現場で世良が見た医師たちの凄絶で高貴な覚悟。
『チーム・バチスタの栄光』で颯爽とベストセラーデビューした現役医師作家の新作もおなじみ東城大学医学部附属病院が舞台。新人外科医世良が直面するのは重い医療の真実と新来講師高階や藤原婦長の謎の行動。医学界崩壊カウントダウンの1988年に起きるのは”奇跡の手術”による感動の結末。





















<Review>

今のところ本作品でしか登場しない主人公の新人外科研修医世良が、癌告知の姿勢や新技術導入の波紋等についてそれぞれ異なるスタンスに立つ佐伯外科の凄腕の先輩医師達にもまれながら、奮闘し成長していく。読みやすくて読後感が爽やか!タイトルにある「ブラックペアン」に纏わる佐伯教授の過去の手術の事実が明らかにされたところで迎える圧巻の結末。本作品はバチスタシリーズの前日談である。高階病院長、藤原看護師、猫田師長、花房師長、速水・島津・田口の同期三人組等おなじみの人達の20年前の様子がよく分かる。それぞれの人となりが分かってから読んだほうが楽しめるであろう(本作品は第3作『ジェネラル・ルージュの凱旋』の後に執筆された)。チョイ役で出ていてもそれぞれの個性がよく出ている。海堂氏の作品は全て架空都市である桜宮市が舞台になっていて、それぞれの作品が何らかの形でリンクしているので、過去に読了した作品の内容を忘れないようにしておくべし。