世界樹の迷宮II 諸王の聖杯

 先日ようやくクリアしたのでようやくレビュー書けます。ちなみに発売は2月21日、購入は2月24日、クリアは6月25日でした。俺にしては珍しく旬を逸さず購入に踏み切りましたが、クリアするころにはゆっくりしていってねブームが既に去っていたりと、やっぱり俺でした

 この『世界樹』、昨今のRPGにしては非常に珍しい作りになっています。街を拠点として世界樹と呼ばれるダンジョンを昇り詰め、頂上に眠るお宝を手に入れるのが目的、という(いい意味で)無いに等しいストーリー、従って主人公にキャラ付けはなし、マッピングはDS下画面を使って全て手動で行なうなど…。完全にウィザードリィだコレ

 そしてウィザードリィといえば何より高難易度。今作もご多分に漏れずその難易度が話題になりました。といっても、さすがに『石の中にいる!』はないです

 まずチュートリアルが始まり、まぁいくら高難易度が売りのゲームだろうと所詮チュートリアルだろ、と軽く考えていたらクローラー×3で本編開始前からhageと飛ばしてくれます。どういうことかというと、こっちはパーティ五人最大HPが30の時に一発50点与える敵が3体ということです。

 とまぁ1Fから強烈ですが、1Fの敵はもう瞬殺できるようになったぜーと勇んで2Fに上がるとまた速攻で全滅というブチキレっぷり。階を一つ上がるごとにビクビクしなきゃならない、というのはたたかう連打で話が進む最近のRPGにはない緊張感です。

 でそんな死にまくりのゲーム面白いのか?理不尽でやってられなくね?と思いきや、不思議と全然そんなことないんですよね。というのも、リスク承知で上の階に上がる方がリターンが大きいからです。

 装備についてすこし説明すると、街(拠点)と世界樹(ダンジョン)とを往復して少しずつ昇っていく仕様上、DQやFFのように新しい町に到着したから新しい装備を買える、というわけではなく、モンスターからのドロップアイテムを売却し、それを素材として装備が作られ販売されるという体裁になっています。

 先ほど1Fから2Fに上がるだけで敵の強さが段違いと書きました。ですが、それに伴い得られる経験値も段違いに上がります。また、出現するモンスター自体が変わるのでドロップアイテムも新しい種類の高額なものになります。つまり上の階にいるほど経験値も金も溜まりやすく装備も充実する、逆にいえばラクだからと下の階に居座りつづけていても経験値も金も溜まりづらく装備は絶対に増えない、ということです。

 …あ、あれ?何かすごく当たり前のこといってるような…でもこの当たり前のことを魅せるのがすごく上手いんですよ。ダラダラレベルアップして小さな成果を出すよりも、苦戦しながらマッピングを進めつつ流れの中で自然にレベルアップする方が効率的なんです(ボス前などレベルだけを集中的に上げたい場合はむしろ逆で、ノーダメージで倒せる敵を倒しつづける方が継戦できて効率が良いですが)。主人公たちはリスク承知で一攫千金を夢見る無謀な冒険者、という設定と合致していて喋らなくても共感できるというかむしろ分身みたいな。

 なんだかまとまらなくなってきましたが、つまりまとめると無理なく高難易度を保てているこの絶妙なバランス感覚が素晴らしい。このサイトではたびたび『オレはヌルゲーマーなんだからゲーム側が譲歩しろよ!!』と匙を投げてきましたが、難易度を吊り上げるやり方が適切であれば難しくても頑張れちゃうんです。まぁ4ヶ月かかりましたけどね

 ただねー…各ジョブ間の格差が非常に大きく、『使いつづけるのは趣味の域』と断ぜざるを得ないものから『これチートじゃないの?』というぐらい強いものまであり、見た目が好きだからって微妙なジョブで固めたパーティを使っていると難易度が劇的に吊り上がり、対して優秀なジョブを使えばそれまで苦戦していたボスもあっさり倒せちゃったり、と強力な技が使えるようになる終盤バランスがぶっ壊れるのが非常に残念でした。難易度の高さと、ジョブごとの役割が明確であるために5人という枠では趣味と実益を両立させるのが難しく(5つも枠があって迷うというのは各ジョブの個性と魅力が出ている証拠ですが)、特にカースメーカーは習得できる技が全てチートクラスという何考えてんのかわかんない性能なため、なりふり構わなければカスメ3人とかにしちゃった方が有利っていうのはどうかなぁ…。

 まぁ終盤鬼の強さを発揮するジョブは序盤弱かったりしてバランス取れてるのかもしれませんが、それでもリスクとリターンの交換を楽しめるのは第4階層までかな、と思います。

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